セミ。

まるで、死者を取り囲んで、連れていくまで離さないような蝉の声。
日本にいたら夏は毎年聴かなければならないのか。。

私が居る地方は昔、アブラゼミが当たり前で、クマゼミはレア物なうえに、透き通る羽がきれいであこがれていた。でも鳴き声は、、、ヒグラシは涼しくて、同じセミかいと思う。はかなげだとか言い出すと、また前にもどるからやめておくが。

今は時代も私の居どころもかわり、クマゼミが昔から普通でしょで、こう集団になられると、きついなあ。

学生のときはじめて東京に行き、ミンミンゼミのマイペースさというか個性に負けたというか、驚いた。あれじゃ、死者を思い浮かべる余裕はなさそうで、つまり、ただただうるさいだけね。。いろいろ地域や世界観があるんだろうなあ、と想像します。

幼いころ、私にしてはうまく捕まえたセミを、虫かごに入れてもちかえったら、普段話をしたことのない父が、セミは寿命が短すぎるのに、何てかわいそうなことをするんだ、はなしなさいと、延々食い下がってきた。せっかく捕ったのに悲しいことしかいわない人にしか聞こえず、セミの気持ちはわかるのに困惑している娘の気持ちがわかっていない父に困りぬいた、幼い日の夏の昼下がりを、あれしか接触がなかったため、毎年思い出す。